9月30日、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」が最終回を迎えた。
最終週のサブテーマは「グッバイ、ナミダクン」。
「ひよっこ」は連続テレビ小説では最も短い、東京オリンピックが開催された昭和39年秋から昭和43年夏までの4年間の少しずつの変化を、じっくりと腰を落ち着けて描いた物語だった。最初はあまりにも変化に乏しいので、視聴率もよくなかったみたいだが、終り頃になると、様々なことが起こり、どんどん話題になって視聴率も高くなっていった。
昭和30年から始まり45年で終わる高度成長の日本経済が成長することを実感できた良き時代の話であった。また、日本の人口が1億人を超えたのは昭和42年。
主人公のみね子がやっと就職できたトランジスタラジオ作成の向島電機が倒産した昭和40年は、昭和38~39年のオリンピック景気特需の反動で多くの企業が倒産し、私も子どもながらにテレビで山陽特殊鋼が戦後最大級の負債をかかえて倒産ことや山一証券が危ないことが大々的に報道されたのを記憶している。
しかし、翌年の昭和41年から大阪万博の開かれた45年までのいざなぎ景気で活力を取り戻した。
昭和30年からの国家予算(歳出)と人口の推移
国家予算は38年が約3兆円、43年には倍の約6兆円となり、昭和45年には約9兆円となったが、現在の国家予算は100兆円にもなろうかとしている。金額的には、今の方が比べ物にならないほどの規模になっているが、借金は増え、実感も充実感も乏しくなっているのではなぜだろうか。
最終回で、みね子の谷田部家が「家族みんなで歌合戦」で歌った「涙くんさよなら」は坂本九の歌。
この時期、私は大阪に住んでいたので、昭和45年の大阪万博の最後の日にも行き、外国の方も全員で、ものすごい数の人といっしょにお祭り広場で、坂本九の“レッツ・キスほほよせて~”で始まる「ジェンカ」に合わせて、手と手をつなぎ合って歌って踊った。とても感激した。
当時は、歌やテレビ番組も共通の認識があり、みんなですぐに歌えたりと、一体感があったような気がする。
色々なことを思い出しながら、心が温かくなるような「ひよっこ」だった。