CDはいよいよ売れなくなったので、ただきれいなだけでこんな演奏でいいのというピアニストが増えた。ここでは、クラシック界で天から二物を与えられたピアニストを取り上げたい。
高3の時、音楽の先生から「アンネローゼ・シュミットの演奏会がある。学生席だが行くならあげるよ」と言われた。当時、話題の金髪の美人ピアニストだった。
演奏よりもその姿を見たかったが、レコードとカセットテープを買って電車賃もなかったので諦めた。
テレビでは中村紘子がよく出ていた。われわれ庶民と違って、別世界の気品があった。
ピアノを弾くときに顔をあげて上目遣いをする時、半開きの唇と大きな眼(まなこ)にとてつもない色気を感じて、友達のKとそのまねっこをしていた。
後に、『赤頭巾ちゃん気をつけて』で芥川賞をとった東大卒の庄司薫と結婚して、ますます高嶺の花と化した。
その後、ジャズばかり聞いていたので、女性ピアニストといえば、プレイもスゴイが見かけはもっとすごいメリー・ルー・ウィリアムス、寄付集めに走るアメリカの上流階級の奥様みたいなマリアン・マクパートランド。ジャケットはおっといわせるのだが、実際は典型的なドイツ人顔のユタ・ピップぐらいで、その頃のジャズ界には美人ピアニストというカテゴリーはなかった。
そんな時、何気なくクラシックの売り場で見たジャケットにはしびれた。マルタ・アルゲリッチ。
こんな黒髪のとびきりの美人がいるのか。
2011年に翻訳された「マルタ・アルゲリッチ―子供と魔法」を読むと、天は二物どころか、本物の天才とはこんなにも能力もあるのかと驚くばかりだった。
別の人がとなりの部屋で練習していた超難曲の「プロコフィエフのピアノ協奏曲第三番」を熟睡している間に覚えて、その譜読みのミスまで含めて再現したり、朗読された小説を、二週間後に一字一句違えずそらんじる、ジャズピアノでも、あの独特なエロール・ガーナーの左右のタイミングが絶妙にずれる「ビハインド・ザ・ビート」奏法をレコードを聴いて、忠実に再現したり、凡人なら一生かかってもできないことをいとも簡単にクリアしてしまう。
きっとiPS細胞が開きまくっているに違いない。
今は、どこかの魔法使いのおばあさんみたいになっている。凡人は些細なことでも気にするが、本人は見かけなど、全然、気にしていないのだろう。
10年ほど前にクラシックにはまってから、見つけたのがエレーヌ・グリモー。
この人、顔に似合わず、排他的・攻撃的な性格だった。でもオオカミに出会って癒されたという。
シューマンのコンチェルトがよかった。
イリーナ・メジューエワ。可憐なロシア娘がジャケットから漂う。これに騙されてはいけない。
今はやりのルックスだけのからっぽプレイではない。きちんとしたとてもいい演奏をする。
DENON(日本コロムビア)にも録音があるが、若林工房からの盤が多い。
メトネルで有名だが、それ以外もとてもいい。
近頃は、金も暇もないので、しばらくクラシックから遠ざかっていたが、なんかの拍子にYoutubeでカティア・ブニアティシヴィリというピアニストを見た。
今までに見たこともないようなタイプ。ドラマや映画で女優が演じるピアニストが、そのまま本物のピアニストとして世に出てきたみたい。その容姿と大胆な服装。びっくりした。
粗削りな部分も多いが、芯のあるちゃんと何かを感じさせる演奏をする。
姉のグヴァンツァ・ブニアティシヴィリもピアニストで美人(おまけです)。
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