2018年1月5日金曜日

芸能人格付けチェック2018

正月といえば、以前は「新春かくし芸大会」だった。
東京オリンピックのあった1964(昭和39)年から始まり、毎年1月1日にこれをみるのを楽しみにしていた。
芸能人が出身地で東西に分かれ、司会が高橋圭三、ハナ肇と植木等が長い間キャプテンだった頃、歌手がドラマに出ることはめったになかった。
こちらも幼かったのだろうが、とても新鮮で、英語劇や中国語劇など、さすがタレントだと感心して見ていた。

番組終了近くの年になると、かくし芸も毎日出ている芸人の方がうまく、ドラマなどをやっても、普段見ているものと変わらないのでおもしろくなかった。

そんな中、「芸能人格付けチェック」が登場した。
実に面白い。
普段、我々庶民が口にすることもない高級料理やワインをあたりまえのように食べている芸能人たちが見事にはずす。
絶対、自信があると胸を張っているが、やはりはずす。
手が届かない憧れの品々に接していても、さほど我々と変わらないのだと、小市民の劣等感の溜飲を下げるには、これほど面白いものはない。

視聴者は、自分だったらわかるかな? とか思いながら楽しむこともできる。
しかし、料理は食べなくてはわからないし、食べたとしてもそんなにいいものを食べたことはないので、間違えるに違いない。

おまけに目隠しをしたら、味覚までわからなくなってしまう。
NHKのガッテンで、目隠しをして魚の味を確認すると、魚の味を構成する成分はほとんど同じなので、魚通の人でも味がわかならなくなるそうだ。
また、別の実験では、鼻の奥にあるにおいのセンサー「嗅神経細胞」が、20代をピークに加齢と共に減っていってしまうため、目隠しをしてあるものの臭いをかがせてもわからなくなっていくという。

なんて、言い訳をしながら見ている。


テレビで挑戦できるのは、視・聴・嗅・味・触の五感の中で視覚と聴覚だけだ。

今年の聴覚の初めは、琴・尺八・三味線を使った和楽器の演奏。
学生和楽器サークル「関東学生三曲連盟」(早稲田大学・慶応大学・明治大学・東京大学など25の団体から選りすぐりの和楽器奏者の学生が参加)と、日本音楽集団(世界31カ国でも講演活動で海外でも高い評価を受けている1964年に誕生してから芸術祭大賞を受賞するなど華々しい活躍を続ける国内屈指の和楽器演奏集団)の演奏を較べるものだった。

これは、わかりやすい。曲名はわからないが、最初の出だしから音が違う。
学生は曲が間延びして、合奏も揃っていないが、プロの日本音楽集団は音の輪郭もはっきりしていて、和楽器独特の間も余裕があった。


次は、毎年恒例の1挺(ちょう)が億単位の楽器と初心者用のものとの比較。
今回は、ヴァイオリンとチェロの三重奏で音色を聴き分けるもので、総額80万円の初心者用ヴァイオリン2挺とチェロと総額39億円のヴァイオリンとチェロ。

ヴァイオリンは「ストラディバリウス・ナチェス」と「グァルネリ・デリ・ジェスピタン」。
ストラディバリウスの中でも最も優れているとされる黄金期(1716年)に作られた名器。
世界におよそ60本しかないグァルネリの中でも最も充実したと言われる1741年に作られたストラディバリウスと並び称される名器。

チェロは「マッテオ・ゴフリラー」。ストラディバリウスをも凌ぐ力強い音色と美しい音質が特徴だそうだ。

曲はJ・S・バッハの2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調(BWV.1043) 第1楽章 Vivace だ。
この曲は、2つのヴァイオリンとオーケストラで演奏されるものだが、ヴァイオリン2挺とチェロ1挺の三重奏で演奏された。



これも簡単だったが、初心者用の楽器とストラディバリウス級の楽器では明らかに音色も響きも違うが、最高技術で作成された現代のヴァイオリンとストラディバリウスを聴き比べるとバイヤーやプロの演奏家でもわからない人も多いという。


どうせやるなら、超一流の演奏家が弾く初心者用楽器と、普通のプロ演奏家が弾くストラディバリウスでやれば、果たしてわかるかどうか?

世界で最高のオーケストラはウィーン・フィルとベルリン・フィル。
普通のオーケストラの団員でもとても高い楽器を使用していることが多いが、ウィーン・フィルでは、楽器保管室にヴァイオリンが一斉に置かれ、団員はこれが自分のものとは決めもしないで、適当に手に取り、そのまま演奏しているという。
それで、とてつもない響きと音色をだしてしまうからすごい。
しかし、上には上がいるものだ。
そのウィーン・フィルのコンサート・マスター(コンマス)といえば、世界中のオケ奏者の憧れ。ソロでも十分通用するようなプレイヤーだ。
世界的なヴァイオリニスト、ダヴィッド・オイストラフがウィーン・フィルを指揮した時、コンマスにこういう風に弾いてくれと指示した。
コンマスはそんな難しいことは不可能で絶対にできないと文句を言ったら、オイストラフは怒らずに「あっ、そう。あなたのヴァイオリン貸して」と、そのフレーズをいともたやすく奏でたという。
恥をかかされたコンマス。怒って席を立って練習に来ない。何日かして戻ってきて、必死で練習した成果をオイストラフに聞かせると「それでいい」と言ったという。



天才はとてつもなくすごい。
エジソンは「天才とは1%のひらめきと99%の努力である。」といったそうだが、これは誤訳で「1%のひらめきがあれば、99パーセントの無駄な努力をしなくてもよい」が正しいそうだ。

といった理由で超一流の演奏家と普通プロ演奏家の比較は不可能だろう。
ウィーン・フィルのコンマスが恐れをなしてしまうほどの演奏家の横では、とても普通の演奏家は尻込みしてしまい、曲にもならないからすぐにわかってしまう。
オイストラフは指揮者としては2流だったが、オケの弦楽器奏者が緊張しすぎたせいかもしれない…?
名選手、必ずしも名監督にならず。

あと一つの視覚の問題は盆栽。
「内閣総理大臣賞などの受賞暦を持つ作家の1億円」と「餅やあんこで作ったお菓子」。
これは難問だった。
CMの後で答えが出るのだったが、もらったシャンパンを飲んで、酔っ払って寝てしまい、結果は見逃してしまった。
どうも、お酒と盆栽に関しては凡才以下らしい。

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