2018年1月13日土曜日
脳みそ吸ったるで~え
中学校2年に大阪に引っ越した。
福山から南海電車の難波駅に着いたとたん、スリというものを初めて見た。
「捕まえてくれ~え スリだあ!」
と大きな声で、男を追いかける人がいた。
人ごみをかき分けて、スリが走り抜ける。
走りながら、盗んだ財布をごったがえす人ごみの中に、パァーッと空中に投げた。
その瞬間、中のお札が舞い散った。
子どもながらに、とんでもない所に来たと思った。
小学生の頃、友達が大阪の親戚に行った話をしてくれた。
「大阪は怖いでぇ」「頭かちわって、脳みそぐちゃぐちゃにして吸ったるで~え」
という人がたくさんいるという。
なぜか、北九州なのに大阪弁を使っていた。
そのリアル感が恐怖を増していた。
みんな、大阪にはいかないようにしよう。
脳みそをストローで吸われるから。
と真剣に考えていた。
大阪での初めて遭遇した出来事がスリだったからたまらない。
いつ、脳みそをぐちゃぐちゃにされるか。
恐怖におののいていた。
転校して初めてクラスで紹介されると、大阪人は人懐っこくて、いろいろと話しかけてくる。
どうやら、脳みそをかちわるような奴はいないなと一安心していたら、昼休みになってみんなで遊び始めると、「よして! よして!」といいながら集まってくる。
なんだ!なんだ!
「よして」と言うならやめればいいのに、反対にどんどん人が増えてくる。
横にいたのにきくと、「よして」とは仲間に入れてくれの意味だと教えてくれた。
ああ、「かてて」の事というと、何やそれ、自分おかしな言葉、話すなぁ。と言われた。
言っている本人が、自分がおかしな言葉を話すと言う。
ますます頭がこんがらがってきた。
私はとっさに判断した。
これが「脳みそぐちゃぐちゃにして」ということではないだろうかと。
家に帰ってから、明日学校に行くと、脳みそ吸われるかもしれない恐怖で思わず涙を流してしまった。
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