2017年12月3日日曜日

もうすぐ絶滅するという紙の書物について

久しぶりに町の図書館に行った。
利用されなくなった本(廃棄図書)を無料でもらえるブックリサイクルがあったからだ。
10時から始まり、会場の図書館2階の学習室には、気に入ったものはないかと手に取りながらたくさんの人が来ていた。
毎年、1週間ほどの期間で行われているが、初日の開始時間はたくさんの人がいるが、その後は、ほとんど来ない。初日の15時に落ち着いて選ぼうと行ってみたが、だれもいなかったので、ゆっくりと物色することができた。

本を買う人はもとより、図書館で借りる人もだんだん減ってきている。


2年ほど前に、イタリア文学に棚に、出版されたばかりのウンベルト・エーコの「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」があった。題名が衝撃的だったので早速、借りた。


エーコといえば、「薔薇の名前」「フーコーの振り子」「バウドリーノ」。
「薔薇の名前」でエーコは有名になった。ショーン・コネリー主演で映画にもなった。
1983年に書かれたものだが、日本語版が出されたのが1990年。映画が1986年だから、見た人が原作を読みたくなった人もいただろうが、出版されたものは上下2巻の分厚い、しかも難解なものだった。多くの人が、はじめに映画になっていたから、読みながらショーン・コネリーを頭で浮かべながら、ああ、こういうこと…、と理解していったに違いない。


日本でもエーコのファンは多いが、この本、なんと、世界中で5000万部も売れた大ベストセラー。こんな難しい本がこんなに売れるなんて?
本家のイタリアでは、全文が雑誌の付録についていたそうだ。キリスト教がわかれば、そうでない人とは全く理解の深さが違うから、イタリア人やキリスト教圏の国では、なるほどね、そうそう、となると思う。

話は「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」に戻るが、この本、ジャン=クロード・カリエールとの対談で、色々な本を語るのだが、エーコは元々は学者。「薔薇の名前」や「バウドリーノ」を読んだとき、緻密で、推理小説としても完璧、知識としても完璧。しかも、エンタテイメントとしても完璧。
なんという人だと驚いたが、このもうすぐ・・・」を読んで、頭がガンガン痛くなるくらい、世の中にはこんなにすごい人たちもいるんだと痛感した。

図書館で借りられる期間は2週間。手元に置いていきたかったが本は3024円。高いなあ・・・。
ところが、幸運にもエーコが私を呼んでいた。
AmazonのKindle版がセール中で1344円。半額以下だ。しかも、分厚い本がiPadで手軽にいつでも読める。すぐに購入した。
ついでに、大好きなジャレド・ダイアモンドも・・・。

図書館に行ったので、久しぶりに、エーコを読み返そうとおもった。「薔薇の名前」「フーコーの振り子」「バウドリーノ」は本で持っていて、読んだと思っていた。「薔薇の名前」と「バウドリーノ」はあるが、「フーコーの振り子」が無い・・・。



あったのは「フーコーの振り子」があまりに難解なので、それを読むための解釈本、『「フーコーの振り子」指針』、『「フーコーの振り子」振幅』だった。これを読んだ方がますますわからなくなるような本だ。
果たして、私は「フーコーの振り子」を読んだのだろうか? 本を持っていたのだろうか?
フーコーの振り子」に振り回されながら、昨年亡くなった偉大な知の巨人、エーコの「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」を読み返した。




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