エーコのことを書いたが、Kindle版の「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」をAmazonで購入した際、ジャレド・ダイアモンドも半額セールだったので、「銃・病原菌・鉄(上・下)」「文明崩壊(上・下)」「変革の知」「人間の性はなぜ奇妙に進化したのか」の6冊を購入した。
書籍でも持っているが、「銃・病原菌・鉄」「文明崩壊」は分厚くて重い。電子書籍だとiPadやiPhoneで何冊も入れて、いつでも読むことができる。
なので、エーコは、「もうすぐ絶滅するという紙の書物」と言ったが、本を持った感触や書き込みがすばやい、本のページで覚えるなどもエーコが思ったように電子書籍は普及していない。
ともあれ、パソコンでもいつでも読め、簡単に思いついた語句を検索するには、やはり、電子書籍は便利だ。とくに、エーコやダイアモンドなどでは助かる。
最初に、ジャレド・ダイアモンドを知ったのは、たまたまつけたラジオで「人間はどこまでチンパンジーか」を翻訳した東大の長谷川寿一教授の話で知った。興味をそそられる内容で、この文化人類学学者の視点は面白いと、書店で「人間はどこまでチンパンジーか」を買い求めた。
期待以上で、ダイアモンドにはまってしまった。
今みたいに有名ではなかったので、2冊しか発刊されていなかった。
その2冊目の書籍名は、「セックスはなぜ楽しいか」。
カバーもはでなドピンク。題字も目立っていた。手に取ることも、レジで支払う時も気恥ずかしかった。
内容はまじめなものだった(もちろん!)。「男はなんの役に立つか」の章では、従来、昔、男は食料をえるために狩猟に出かけ、女はそれを待って子育てなど家庭を支えてきた。と教えられてきたし、いわゆる「男らしさ」のDNAはここからとそうずっと思ってきた。
しかし、ここで書かれているのは、
ジャングルのなかの道で出会う夫婦は、必ずといってよいほど、女性が薪や野菜、赤ん坊といった重い荷物に腰を曲げ、一方、男性はといえば、弓矢以外になにももたず、ただぶらぶらと背すじを伸ばして歩いていた。男たちが狩猟に出かけるのは、せいぜい男同士の結びつきを強めるだけの役目しかもたないようで、ジャングルで獲物がとれたとしても、その場で男たちだけで食べてしまう。
つまり、妻たちは、夫が猟に出かけている間の食料はもとより、帰ってからの食料も女性が調達していたということだ。
では、男は何をするのか、何の役に立つのか?
一見のんきそうな男たちは、重荷を担いだ妻の隣を歩いているだけのようで、実は見張り兼護衛として他部族の待ち伏せにそなえ、いつでも弓矢を使えるように両手を空けていたのだ。
と書かれている。
敵が襲ってくる時代には、戦うことにかんして、肉体的にも優位に立っている男性は役に立っていた。ライオンと同じだ。オスはじっとしていて、メスが餌をとってくる。
でも、そこにいくまでが大変。オス同士の戦いに勝ち抜き、メスからは自分たちを守ってくれることができるかと、辛い採点に合格したものだけがその位置につける。
負けて、メスたちから見向きもされなくなったオスライオンは、立派なはずのタテガミだって抜け落ちてみじめにみえる。
今の平和な社会で男性は、命がけで女性を守るということはない。
女性はもともと自分だけで生きられるのだ。自分をまもってくれないと思ったらライオンも人間も変わりはない。
ますます強くなってたくましくなっていく女性に対して、勝ち抜く環境にさらされていない男性。
これでは、結婚もしなくなって、ますます少子化が進むだろう。
初期のジャレド・ダイアモンドの本は電子化されてなかった。
「セックスはなぜ楽しいか」が見つからなかったので、町の図書館のコンピューターで検索しても見つからない。しかたなく、窓口で図書司書に書名を言って探してもらったら、あった。普段は奥で保管している閉架図書だった。たんたんと手続きをすまして本を持ってきてくれたが、相手は何もおもっていないと思うが、それからは変態オヤジとみられているように自分だけが感じて、ちょっとの間、行きにくかった。一冊の本の重みは大きいなぁ。
でも、今は大丈夫。Kindle版の「人間の性はなぜ奇妙に進化したのか」を開くと、「セックスはなぜ楽しいか」との同じ内容ではないか。
文庫本にもなり、書籍名を言っても恥ずかしくないようになっていた。
ああ、よかった。
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