ケニー・バロン。ジャズ・ピアノの売れっ子だ。
25年前になるが、いまは閉店してしまった1990年にできた「福岡ブルーノート」に「チェーシン・ザ・トレイン」のプレイを聞きに行った。
トランペットのランディ・ブレッカー率いるグループだが、弟のマイケル・ブレッカー(2007年に亡くなった)のサックスはすごいとおもったが、兄のブレッカーはいまいちだと感じていた。
なんで、聞きに行ったかというと、ピアノ、ケニー・バロンとあったからだ。
当時、バロンはあまり知られていなかったが、もっと前に何かのCDでプレイを聴いていいなと思ったのだろう。
「チェーシン・ザ・トレイン」のプレイでも、バロンばかりに耳を傾けていた。
演奏終了後、楽屋に尋ねていった。
メンバーは誰だったか忘れたが、いままで来た人たちはすべてランディに会いに来たようだ。
入ると、「ランディはあっちだよ」と他のメンバーが何も言わないのに教えてくれる。
ランディはブレッカー兄弟として超有名でオーラがでまくっていると思ったが、弟のマイケルがあまりにもすごかったので、なんとなく自信がなさそうだった。ただ単に疲れていたのかもしれないが。
私が、バロンを見つけて、「あなたに会いたかった」と緊張して言うと、ランディやほかのメンバーが「オオー」と声を上げた。よほどめずらしかったのだろう。
なによりも驚いたのが、バロン。
「えっ、オレ?」とキョトンとして自分を指さしながら言った。
ランディをはじめ、他のメンバーもなぜかしら、笑って盛り上がったが、こちらはあこがれのバロンに会って、何を話したか全く覚えていない。
もっとも、英語はほとんどわからなかったので・・・。
ケニー・バロンはそれから、超売れっ子になってCDもたくさん発売されている。
ほとんど、手にいれたが、最初聞いたときはモダンな印象があったが、ずっと聞き続けていると、とてもオーソドックなプレイをする。
派手で、キラキラするようなところはないが、堅実な中にキラッとするフレーズを入れてくるところがいい。ブルーノートであった時のようにシャイな人柄がそうさせるのかなぁ。
今でもこの人には脇に回った時の方がいいと感じる時がある。
プレイを聴くたびに、いぶし銀のようなプレイよりも驚いたバロンの顔が浮かんでくる。
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