スピーカー、プリメインアンプ、チューナー(当時はレシーバーと言っていた)にカセットデッキ。
木の箱が3つ並んだセパレート・ステレオに比べて、断然かっこよかったが、高くて買えなかった。
金をためて、やっとの思いでヤマハのコンポを手に入れた。NS-10M、モニタースピーカーというやつだ。
アンプやカセットデッキの機種名は覚えていない。
レコードプレイヤーと並べたら、置き場所がない。
しかたないので、家具屋にいってガラスの開き戸がついた収納棚を買い求めた。
今ではオペラのDVDの収納庫になっている。
電源コードを出すために穴をあけ、コンポを入れ込むとかっこがいい。最初はスピーカーも一緒に入れていたが、ガラスが共振してビビリ音が発生するので、外に出した。
レコードの片面が鳴り終えると自動的にアームが上がって最初の場所に戻る。
それまでは、終わる寸前に気づかなければ、プツンプツンと音もならないところで回り続けていた。
便利になったが、心地よくなって寝てしまうことが増えた。
先輩がいいコンポを買ったので聞きに来いと誘われた。
訪ねていくと、うちのスピーカーの倍以上の高さがあるなぜかしら雰囲気のあるスピーカーが端座されていた。
タンノイだよ。いいだろう。と先輩はいった。初めて聞く名前だ。イギリスのメーカーらしい。さすがイギリス貴族の佇まいを醸し出していると、ひれ伏すような気持ちで正座して音楽を聞かせてもらった。
交響曲も聞いたと思うが、先輩の好きだった三橋美智也をさんざん聞かされた。それしか覚えていない。頭がいたくなり、それ以来、三橋美智也の曲がトラウマになった。
その後、先輩を度々訪ねては、ジャズのレコードを持っていき、かけてもらったが、どうも、しっくりこない。タンノイの音は渋い。クラシックはよくなじむ。
大阪の千日前に「やかた」というジャズ喫茶があった。初めて中に入ると、いきなり、ドライブ感全開で、目の前で汗が飛び散るように熱気ムンムンでスイングしまくるピアノの音に圧倒された。ピーターソンだった。
アンプのメーカーなど知る由もなかったが、上にホーンがついた目の前の巨大なアルティックの箱にびっくりし、そこから怒涛のように溢れ出る音に、これがジャズ喫茶か、これが本物のオーディオかと度肝を抜かれた。ピアニストが鍵盤を押す音まで聞こえた気がした。
家に帰って、同じレコードを聴くと、我が家自慢のコンポは必死に音を出そうとがんばるが、やせこけたヤギの鳴き声みたいに聞こえた。
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